人生において、Aにするか、Bにするかといった、何か選択を余儀なくされる場面がでてきます。進学とか、就職とか、転居とか、移住とか…。
Aがいいけどリスクが怖い、一方でBなら安定するけど何かもの足りない…。
そうして考えていくうちに、どっちも決められず現状維持のまま、何も出来ずにうやむやにしてしまう。そう、かつての私自身がそれでした。
そんな自分をどうにかしたいと思い悩んでいた2012年の3月頃、瀧本哲史さんという京都大学の准教授の方が書かれた本に出会いました。
『武器としての決断思考』(2011) 星海社
瀧本さんは、瀧本さんが京都大学にて教えている「意思決定の授業」の内容を凝縮したものとなっており、ディベートの考え方を元にした意思決定の方法を学べるものとなっています。
日常で陥りがちな3つの歪んだ判断
まず瀧本さんは、私達が陥りがちな判断について、3つ挙げています。
- 慣れていることを重視してしまうこと
- 限られた枠組みや情報のみで考えてしまうこと
- サンクコスト(支払った時間やお金の分を、無理にでも回収しようとすること)
①の慣れていることを重視するというのは、よく分からない時は現状維持に徹するとか、これまで上手くいっていた成功パターンを踏襲することを指します。
②の限られた枠組みや情報のみで考えてしまうことは、言葉の通り、自分の知っている範囲でしか考えないために、判断ミスが起こってしまうことを指します。
③のサンクコストは、自分が費やした費用や時間を多大に評価し、上手くいかなかった時に、「これだけ頑張ったんだから、今になってやめることは出来ない」と考えてしまうこと。
失敗した段階で、一度白紙にして考える必要があっても、最初に払った投資分の、元を取ろうとしてしまう。これは、真面目な人間にこの傾向が強いように思えますね。
物事を正しく決断するためのディベート思考
上記のような歪んだ判断を回避するツールとしての、ディベート思考とはなにかを解説してくれいるのが本書です。
ディベートのルールについては、本書にてたくさん述べられているのですが、特に大切だなと思ったのが、メリットとデメリットを比較することです。
本書では、この部分について、かなり細かいところまで解説されているのですが、簡単にいえば、「〜するか否か?」という問に対して、賛成側の根拠となるメリットはそれぞれ何か、反対側の根拠となるデメリットはそれぞれ何か、それぞれの立場に立つことによって見えてくるメリットとデメリットを明らかにする必要性を説いています。
本書では、「第2志望の会社(X社とする)から内定をもらったAくんは、就職活動を続けるか否か」を事例に述べています。
賛成側の意見(続けるべき)
- X社よりも良い会社に就職できる可能性がある
- 就活を成長の機会として活用できる
- 他の内定が取れなくても、就職先への納得感を得られる
反対側の意見(やめるべき)
- 更に多くの時間を費やすことを避けられる
- 精神的に落ち着ける
- X社主催の研修やインターンに集中できる
この作業をするだけで、何かを決断するときにどういったことが起こるのか、未来のシュミレーションできます。
提示されたメリット・デメリットが自分にとって重要なのか・正しいのか否かを考えることで、一歩踏み出しやすくなるのではないでしょうか。
決断は、自分の価値観(もしくは直感)で!
メリット・デメリットが分かったら、あとは「自分にとって譲れない要因はなにか1つ」決めてしまえば、それに従えばいいと考えられませんか?
もちろん、それに伴うリスクも考慮する必要がありますけどね。
判断し辛い…、というときは、「己の直感」を頼りにするのも1つだと思います。「こっちのほうが私にとって大切な気がする…!」といった感じの。
何かの決断を迫られ悩んでいる時って、「選択することによってどうなるかが分からない」っていう不安から来てることがほとんどです。
だったら、選択のメリットとデメリットをどんどん書き出してみて、自分にとって大切だと思えるものを選んで、決断していきましょう!
最後に:決断を繰り返す過程で人は強くなる
何かを決断すること、そこには必ず失敗が伴います。でも失敗を恐れてはいけません。
周囲から、
「失敗したらどうするの」
「危険な選択をすべきではない」
と止められたとしても、そこに明確な根拠がなかったり、相手がそうした経験者でないのなら、はっきり言って聞く耳を持ってはならないのです。
相手は確かに、あなたのことを心配しているかもしれません。
ですが、あなたの人生を保障してくれるわけではありませんし、責任をとってくれるわけでもありません。
自分の人生は、自分で保障するしかありません。
確かに失敗の代償は、ときとして辛いものがあります。
しかし、「自らの意思で何かを選択し、決断する」という一連の行動を続けることで、人間は失敗から多くのことを学び、そしてその経験は揺るぎない己への自信へと変わります。
少なくとも私は、そう信じています。